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本当に好きでいてくれるのなら、待たせてしまうのも悪いかと思うのだが…。
「…豊くん、す、好きだよ…っ?」
「ああ」
「豊くん、は?」
「一々聞くな」
「っ…ご、ごめんね。付き合ってるのにね、僕たち」
返事は、ない。
ツラそうな顔で俯く花梨に、果たして豊は気づくのだろうか。
気持ちが揺れる。
それは、蒼だけの話ではないのかもしれない。
◆
「何がしてぇんだろうな、豊のやつ」
「んー…さあ?」
「まー俺としては助かったっつーか…」
今日は幸作と2人きりでお昼を食べている。あの日、豊の前で幸作にキスをした日以来、豊はまた姿を現さなくなった。
離れたり、また寄ってきたり、そして離れたり。本当に何がしたいのだろうか。
「まぁほら、豊には柚木くんがいるわけだし」
「、そうだな!今更蒼んとこきたって遅いっつーの!」
「おわっ!?もー幸作重いー」
「失礼なっ、全部筋肉の重さだし!」
「えっ、マジで?」
そんなに筋肉凄かったっけ?と蒼が腕やら腹筋を触れば、バレたか、なんていいながらもニマニマと顔を緩めていて。
豊がいたときは蒼が取られるんじゃないかと気が気じゃなかった。けれどその元凶もいなくなり、幸作としては万々歳だったのだろう。
しかし。
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