12
「はあ?なんだそれどういう意味だよ」
「まさか2人が付き合ってたなんてなぁ。知らなかったぜ?」
空いている席になんの断りもなく座り、咎めるような目で2人を…いや、蒼を見つめる豊。
いきなりなんなのか。
失礼な態度に幸作が不機嫌になる中、蒼は「ダメなの?」と豊に返す。
「部活も休んで…んなに、会いたくなかったかよ」
「そ、れは…」
「それとも、俺じゃなく朋也か」
――ドキ、
と、心臓が跳ねる。
俯きかけていた顔をあげて豊を見れば、こちらを心配そうに見ている豊と目があった。
「あいつに直接聞いた、なんでいわなかったんだ」
「おい豊!その話しやめろっ」
「何された、大丈夫なんだろうな?…心配かけさせんじゃねぇよ、アオ」
「し、んぱい…して、くれたの…?」
「チッ、1人残してくんじゃなかったな…」
揺れる、蒼の瞳。
揺れる、蒼の…気持ち。
心配した、と髪を掻き乱す豊は本当に蒼のことを心配してくれたらしく、蒼はそれを、"嬉しい" と感じてしまった。心配して、直接話を聞くために花梨を置いて会いにきてくれたのか。
どうして、そこまで。
別れても友人に代わりはないから、とはいえ、どうしてそこまで真剣になってくれるのか。
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