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指じゃなかったら、どこを舐めるというのか。僕はしてもらいたいですね、なんて怪しげな会話を始める2人にいたたまれなくなり、蒼は「トイレ!」といって慌ててその場から逃げ去った。



「はっ、…ケホッ。なんなんだ、もう…」

――ガチャ、

「…あ、橋爪先輩もトイレですか?えーっと、奇遇ですね」

(で、いいのかおれ)



なんだ奇遇って、と心の中で自分にツッコミ。洗い終わった手を送風機にかけようとした。だがなぜかその手を掴まれ、そして経理の口元に。

は?と思ったときには指は既に経理の口内に入ったあとだった。



「なぁあ゙!?」

「ン、…大して美味くないな…」

「当たり前じゃないですかっ!な、なんで…っ」

「向島が舐めていただろう。てっきり青野の指は美味しいものかと思ったんだが」

「えぇぇ…」



あいつの味覚はどうかしてるな、と鼻で笑って用を足し始める経理に、蒼はわけが分からずに呆れるしかなかった。もう一度洗いなおしながら思う。いっちゃ悪いがこの先輩、ちょっとバカだな、と。

恐らく性的な意味はなく、本当に美味しいのかを確かめただけの行為だったのだろう。普通は確かめなくても分かることをわざわざするなんて…。


(これ、トモ先輩の前だったらスッゴいバカにされてただろうなぁ…)


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あきゅろす。
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