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(好きだ、花梨)
(あぅ…ぼ、僕もだよ…?///)
(花梨、花梨花梨、…っ、花梨っ)
(ゆ、豊くん…?)
――好きなのは…
◆
『ありがとうございましたぁ』
「ゴチになりまーす。…あ、袋おれ持つよ」
「いーっていーって、ほらいこうぜ」
「いやでも…」
放課後、モールでファストフードをテイクアウトした蒼と幸作は、それを外で食べることにした。これくらいは、といって幸作が全て支払ってしまい、ならば荷物持ちぐらいはすると蒼が袋に手を伸ばすも、それも避けられてしまう。
代わりに、幸作の手が差し出され、蒼は小さく笑みを浮かべその手をとった。
「なるほど、幸作そのものが荷物だったのか」
「え、ヒデェ!俺荷物扱い!?」
「あはは冗談だって」
「まーでも、一生蒼のもんになれるならそれもいっかもなぁ。…お、あんま人いねーな、ラッキー」
モールの斜め手前、芝生になっており、そこからは海と本土が見渡せる。奥までいけないよう手前の方で柵がたてられてはいるが、ここでのんびり過ごす生徒も少なくはない。
2人は適当な場所に腰掛け、買ってきたものを広げる。青空の下、ということもあり、より美味しそうに見えた。
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