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英語の授業が始まり、蒼は考えに耽る。
幸作は、とても優しい。いつも気にかけてくれ、蒼の嫌がることは絶対にしない。けれど身を引いているわけではなく、ストレートに思いを告げてきてくれるし、2人きりがいいときはちゃんといってくる。
ちょっとした妖しいイタズラだって何度されたか分からない…が、蒼の気持ちが追いつくのを待ってくれているのだろう。キス以上のことを要求してくることはなかった。
(…落ち着く、んだよなぁ)
幸作の横は、とても。
豊のときとはまた違う感覚に少し戸惑いもあるし、友人の域を出ていないだけなんじゃないかと思う。
けれど、キスされることに嫌悪感はない時点で、蒼の中で幸作への気持ちは育ってきているのだろう。
『…じゃあ次の文を…青野、読んでくれ』
「っは、はい!」
(ビックリした…!)
思わず声が裏返ってしまい、チラリと盗み見た幸作はおかしそうに笑っていて顔が赤くなる。蒼は恨めしそうに少し睨みつけてから、先生に当てられたところをつっかえながらも読んでいくのであった。
◆
「…い、今更なんだけど…さ」
「「ん?」」
「あ、や、ゆゆ豊は2人のこと知ってるのかなぁと思って…」
「ああ…いってねぇけど、噂とかで知ってんじゃねーの?」
「おれたち噂になってんの…?」
「あ、あまり聞かないかも」
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