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「あ、とりあえず僕が代わりに買ってきますから、先にお金下さい」
「あ、ああすまない。…大体外へ呼び出したのは大沢だろう。大沢が払うべきだ」
「うっひゃひゃひゃ!ウケる!」
(橋爪先輩結局出してるし…)
本人はそれに気づいてないが。
拓は笑いながら朋也の手伝いにいき、買ってきたファストフードを渡された経理はご丁寧にもお礼をいって受け取り、ようやく気を静めた。
これのお金の出所は、教えない方が経理のためにもなるだろう。とりあえず、いただきます。
「…でも、なぜ外で集まろうと思ったんですか?」
「別に。中ばっかじゃ気ぃ滅入るだけだろ」
「そうですね…外で見る蒼くんもまた、いいものです」
「っひ…ちょ、向島せんぱっ」
「違うでしょう?」
「と、トモ先輩!」
スルリスルリと太ももに置かれた手を動かされ、蒼は耳を赤くして慌てて掴んだ。手は止まるがそこから退かされることはなく、朋也はニコニコと笑みを浮かべて蒼を見つめている。
そんなところが蒼は苦手なのだ。どこか恐怖すらも感じる。
「こ、こういうことは、あの」
「何でですか?男同士なら問題ないですよね?」
「いやぁ…なくはない、かなと」
「ああ、蒼くんもやっぱりここの生徒なんですね」
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