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「…おれは大丈夫だよ。平凡だし…柚木くんはほら、可愛いから危険なの幸作も分かるっしょ?だから仕方ないって」
「でも…っ」
「悟ってますねぇ。ああ、そんな蒼くんを思いっきりイジメてあげたいです」
「…あ゙?」
「ふふ、あなたが反応しますか、大沢。なんて自分勝手な人なんでしょう。ねぇ蒼くん?」
「えっ、いや、あー…飲み物買ってきます!」
ここは逃げるに限る。
蒼は居たたまれなくなり、飲み物を買うためにその教室から出ていった。そのあとを幸作が追う。
「さっきは悪かったな。俺頭きちゃってさぁ」
「いや、ありがとーな幸作。うん、でも、ほんとにもういいんだ」
「いいって…だって、豊と付き合ってんのは蒼だろ?なのにあいつ柚木ばっか…」
「優しいなぁ幸作は」
へらり、と笑う。
どこか泣きそうな顔をしていて、幸作は無意識のうちに手を伸ばし、蒼の髪を撫でていた。
蒼も何もいわず俯いてその手を受け入れ、ぐ、と唇を噛み締める。
(豊とは、違う手…)
けれど優しさは物凄く伝わってきて、心が揺れそうになる。蒼は全てを内に押し込め、パッと顔をあげた。
瞬間、驚いたのか幸作の手もパッと引っ込んでいく。
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