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「ぼ、僕この部活に入りますっ!皆さんと仲良くしたいですっ」
「クク、花梨なら大丈夫だろ。それに、こいつは誰かが守っててやらなきゃ危険だ」
ちょっとおっちょこちょいなところとか、その容姿に群がる野獣のこととか。
豊はクツクツ笑いながら花梨の頬をピッと指で弾き、花梨は顔を赤くしてうるうると潤んだ目で睨み返した。
その様子をおやおやと楽しそうに見つめる朋也に、ハラハラと蒼の様子を窺う拓。幸作に至っては、笑顔なのにどす黒いオーラが漏れ始めていて。
「豊が守るべき相手は蒼だろ?」
「あ゙?なんでテメェにいわれなきゃなんねぇんだよ」
「そんなん、どっからどう見てもおかしいからに決まってんだろーがっ!」
「ちょ、幸作!?」
「あわわ、ど、どうしたのっ?」
「うぜぇ…アオは一人でも大丈夫だろ、そんな弱くねぇよ、運動さえしなきゃ。なぁアオ?」
――ズキ、
と、向けられた笑顔に胸が痛む。確かに蒼が襲われることはない。喘息のせいで急ぐことが出来ずのろまといわれることもあるが、発作さえ起きなければ基本蒼はそこらへんの男子高生と変わりはない。
けれど、なんというか、そんなことハッキリと豊の口からは聞きたくなかった。
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