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「けーっきょく優勝は黄色だってよー。メチャ撃ちまくったんだけどな」
「でも最後まで生き残ったんでしょ?それはそれで凄いじゃん」
「へへ、まぁな。…っと、おー拓じゃん。はは、すげー赤いな」
「うぅぅもうほんと怖かったよぉぉ…!ギリギリまで追いつめてくるし当たったのに "あれ?死にませんねぇ" なんていいながら顔にも当ててくるし…っ」
「うっわぁ…ドンマイたっくん」
半べそをかく拓に同情しつつ、今頃どこかで満足げにニコニコしているだろう朋也を思い浮かべ、蒼と幸作は身震いをした。同じチームで心底よかったと思う。
トボトボと寮に帰るほとんどの生徒がシャツを何色かに染めていて、でも楽しそうな顔を浮かべていた。その中に見えた豊と花梨に、幸作が声をかける。
「豊も生き残ったのか!さすがだな」
「ああ、お前もか。…クッ、アオは撃たれてんな」
「あっ、うん。頑張ってはみたんだけどね」
「発作起こしてその最中に心配されながら撃たれたんだってよ。ある意味よかったかもな、それ以上無理しなくて済んだわけだし」
「発作…?」
知らなかっただろ。半分くらいは出てたし、何人か撃ったんだよな?
幸作がわざとらしく蒼に聞けば、蒼はチラチラと豊の様子を窺いながらも頷いた。どんな答えが返ってくるだろうか、なんて少し緊張していると。
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