18
「大沢は化け物ですか」
「俺に不可能はねぇ」
「そ、ゆー向島先輩もはえー、し、息乱れてね、しっ」
「ふふふ、これくらいは何とも」
「ぜはっ!げほっ、はぁ゙っ!あ、おのっひきょ、だ、ぞ…っ、ゔぇっ」
飄々とした朋也とは真逆に息をするのもツラそうな経理。運動は苦手なのだろう。ビリになったのを認めたくないのか、走ってもない蒼を標的にし、睨みつけてきた。
ビクリ、と蒼の肩が揺れる。だがそんな経理をあざ笑うように、豊はクツクツと笑いを零した。
「担がれたらアウト、なんてルールあったか?」
「いっ、いやだが!」
「そもそも蒼くんは喘息持ちで走れませんし、経理が担いでビリになったならまだしも、そうじゃないでしょう?」
「っ…み、認めんぞ!」
「あ、あー…じゃ、あの、ジュース代くらいはおれが…やっぱ卑怯かなとは思いましたし」
そろー…と手をあげて提案する。だがそれに賛同するのは経理だけ。豊はもちろん、朋也も拓もズルをしたなんて思ってないのだから。
何よりも、部長がそれを許さない。
「金を出すのは経理。それが嫌なら部費で出せ」
「部費?部費だと?それじゃ意味がないだろう。大体…」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!