18
2人のうち片方が味方のときは蒼もこっそり援護したり、たまに移動したり、隠れている敵を後ろから撃ったり。
「やった、倒した…!」
ある程度距離が離れていても当たるため、今回は思っていた以上にゲームに参加が出来、役にたてるかもしれない。そう思うと楽しくて仕方ない。
途中チームメイトと合流して挟み撃ちもしたし、笑顔で拓を追いかける朋也の組み合わせも見つけて同情もしたりした。…そんな、ゲームを心の底から楽しんでいたとき。
――ガサッ
「っ!…やばっ」
近くで音が聞こえ、蒼は慌てて身を隠し息を潜めた。ソッと相手を窺えば、服の裾には青ライン。敵だ。
あちらには2人いるためここはコッソリ逃げてしまおう。そう思った蒼の目に飛び込んできたのは、敵だけど、敵じゃない人で。
「はっ、はぁ、疲れたぁぁ…っ」
「チッ、うぜぇなあいつら。…大丈夫か、花梨」
「ん、ありがとぉ豊くん」
(ゆ、たか…)
敵から逃げてきたのだろう、2人とも息を乱していてあたりを警戒している。蒼はその様子を見て、ズキリと心臓が痛みを訴えたことに気づく。
本当に仲よさげで、逃げてきたのはどう見ても花梨を守るため。去年の今頃はその花梨のポジションに自分がいたのに、今年は違う。
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