14
「あっ、豊!今度の休みなんだけどさ」
「ああ、…あ?ちょっと待てアオ。おい "花梨"、1人でどこいくつもりだ」
「えっ、と、トイレだけど…トイレも1人でいっちゃだめ?」
「しばらくはダメだ。俺もついてく。…わりぃアオ、また後ででもいいか?」
「あー…うん、もういいや、大したことじゃないし」
「え、えええあ蒼いいの…?」
「何が?あ、教室戻んなきゃ。じゃーまたあとでね、たっくん」
(蒼…)
拓は蒼の背を見つめ、何ともいえない顔をした。あの日から、豊は変わった。呼び方がより親しげになり、常に花梨のそばにいるようにして。
今だってそうだ。
トイレにいくだけの花梨についていき、周りの危険から守り、牽制までしている。
ご飯はみんなで食べることが当たり前になった。危機感なくうろちょろする花梨を放っておけないのか、放課後はそちらに構い部活にもこなくなった。
部屋に呼ばれることはあるが、どこか上の空だったり花梨の話ししかしなかったり。とにかく、変わった。恐らく…気持ちの、ベクトルの向きが。
「はぁぁ…幸作ー」
「お?どうした蒼、豊いなかったのか?」
「いや、いた…けど。あのさ、今度の休み暇?いきたいとこあんだけど、一緒にいかない?」
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