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――ドサドサッ

「うっ、うわぁぁんっ、怖かっ、怖かったよぉ…!」

「泣くな、もういねぇから落ち着け。大丈夫だ」

「ふぇぇ、きっ、きてくれてありがと、ひっく、うぇぇんっ」

「ゆ、たか…」



中の光景に、蒼はカバンを落とし、どこか絶望した顔を浮かべただ呆然とそこに立ち尽くした。

強姦は未遂で終わったらしい。
けれど服もはだけ、自分よりも大きな人に襲われるというのは相当な恐怖だろう。怖かったのも分かる。泣いてしまうほど、というのも分かる。

だが、だからといって…豊に、抱きつく必要があったのか。豊も、そんな優しげな目をして受け入れる必要があるのか。それは、蒼には分からない。



「あ、えっと…大丈、夫?」

「っ!ひっ、や…っ」

「落ち着け、アオだ。よく見ろ。…それに俺がいるだろ、大丈夫だ」

「う、うん、うん…っ」

「アオ、先帰れ。こいつが落ち着いてから俺たちも帰る。1人で大丈夫だな?」

「だ、大丈夫に決まってんじゃん。ちゃんと送り届けてやりなよー?」



大丈夫って、ナニが?
そう聞きたいのをグッと堪え、蒼は豊にカバンを渡して先に教室を出た。

ズキズキと痛む胸に今は仕方ないんだと無理やり納得させ、再び聞こえてきた花梨の泣き声に耳を塞ぐのであった…。


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