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――ダッ

「うわっ、ま、待って…ひぎゃあ!?」

「口閉じてろ暴れんな!」



なぜかぐわんと揺れた視界に、近くから聞こえてくる豊の声。お腹にくる圧迫感に堪えつつ体を起こしてみると、ポカンとした顔の拓と朋也、経理がいた。


(…え、嘘)


担ぎ上げられている、豊に。
乗り心地は最悪だし、軽々持ち上げられて挙げ句、何事もなかったかのように走られるのは男としてプライドが傷つくが、何よりもその行動が信じられなかった。

モールにつくころにはさすがに豊も息切れをしていたが、誰も抜かすことは出来ず。スタスタと歩いて近くのテーブルに荷物を置き、椅子へ蒼をおろしてきた。その隣へドカリと豊も腰掛ける。



「はぁ゙ー…くそ、しんど」

「ごほっ、ケホッ、…な、んで」

「あ゙?走れねーんだろ、アオは」

「そう、だけど…まさか担いで走るとは思わないじゃん!」

「はっ、じゃあ次からはその選択肢も頭ん中入れとけよ」



クツリ、余裕そうに笑う豊に、顔が熱くなる。ドッドッドッと早くなる動機に蒼は慌てて吸入器を取り出し、息を落ち着かせた。

その後すぐに朋也がきて、拓、そして少し遅れて経理がやってくる。



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