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だが今回は "気が向いたら" なんて理由ではないだろうし、既に噂になっている可愛い編入生が一緒だ。なぜか拓ではなくあの豊が面倒をみていて、幸作も蒼も目が点になる。
「え、と、豊、その子…」
「ああ?あー…」
「ゆ、柚木花梨ですっ!よろしくお願いしますっ」
「あ、俺脇本幸作、よろしくな」
「青野蒼です、よろしく」
とりあえず挨拶をし、お昼を頼む。食堂の利用の仕方もご丁寧に豊が教えていて、蒼は少しだけつまらなそうな顔をした。
「豊が編入生の面倒見るとか珍しくね?」
「別に、意味はねぇよ」
「ふーん…あ、ねぇ豊、今日の部活のことだけど…」
「あー悪い、今日は出ねぇ」
「え?」
「あ、ご、ごめんなさいっ、僕が校舎の案内お願いしちゃったの。部活あったなら他の人に頼むけど…」
「やめとけ、危険すぎんだろ。目ぇ離した俺のせいにされたらたまんねぇ」
たった数時間横にいただけだが、豊と拓には花梨のことがある程度分かってしまった。無自覚でいて、どこか抜けている。おっちょこちょい。可愛い上にそんな性格だと、この学園ではあっという間に食べられてしまうだろう。
だから、案内を頼まれたとき、一度は断ったが了承した。危なすぎて、そう、ほっとけないと思ってしまったのだ。誰でもない豊自身が。
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