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豊との関係も、病気のことも。
だからずっとこの6人でいけたらいい。蒼は切にそう願うのであった。
…そんな簡単に願いを聞き入れてくれる神など、いやしないのに。
◆
「ゆ、柚木花梨ですっ、えと、よ、よろしくお願いしますっ」
『『うぉおおっ』』
『かんわいーいっ』
それは、新学期が開始して3日後のことだった。家の事情とやらで3日遅れて2ー1へ編入してきたその子は、男とは思えないほど可愛らしい容姿をしていて。
茶色のふわふわの髪に、大きな目。背も165cmもなく、周りの反応にビクビクしちゃっているとこがまた可愛くて。
「う、うっわぁ…実は女の子だったりしてぇ?」
「テレビの見過ぎだろ…」
こそり、と後ろの席の豊に話しかけていた拓は、少しだけ頬を赤くしていた。
好きな人がいるとかいないとか、そういうことは関係なく純粋に可愛らしいのだ。
『席はー…大沢の隣だな。大沢っ』
「…あ゙?」
『彼の横だ。隣の席同士仲良くしてやれよ、大沢』
「うぜぇ…」
席は豊の横。
一番後ろの、窓際から2列目の席。
そこにつくまでにクラスメートにたくさん声をかけられた花梨は酷く困った顔をしていて、ようやく席につき、ホッとした顔を浮かべた。
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