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いい場所を見つけ豊がそこに決めると、シートを持ってきていた幸作が先に走っていき、それを広げた。
学園の中ではなく、こうして公共の場でやるからこそ面白いというもの。でも学園の中で静かに見るのもいいかもしれない、なんて豊が蒼とのデートについて考えているとは誰もつゆ知らず。
みんなは円になって座り、それぞれが持ち寄ったものをドドン!と中心に置いた。
「俺は飲みもんとコップ持ってきたぜっ」
「この栄養バランスまで綿密に計算されたお弁当はもちろん僕だ」
「お、おおオレ、お菓子作ってきちゃったんだ、けど…」
「ふふふさすが乙女たっくんですね。僕は…アルコール類を少々…」
「はっ、たまにゃいい仕事すんじゃねぇか。オードブルがいいつまみになんな」
「お酒って…。おれはおにぎり作ってきた、けど…まぁ期待はしないで下さい」
うまいこと分かれたそれぞれの持ち物に、蒼や拓など一部はホッとしつつ、当然のごとくあるお酒にため息をつく。
経理が未成年どうのこうのと文句をいっているが、朋也の、
「ノンアルコールですよ、ほらどうぞ、本物の気分を味わえますから」
という真っ赤な嘘を信じきり、経理は注がれるチューハイに少しだけ興味深そうに覗き込んでいた。
朋也と豊はもちろんお酒。蒼たちはジュースをコップに注ぎ、そして。
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