2
めんどくせぇ、なんていいつつ携帯をいじり出す豊は確かに花見をするタイプではない。けれどちゃんと部活のことも考えていて、そして何よりあの言葉。
(おれが喜ぶなら…か)
思い出して、てれてれとほんのり頬を赤くする蒼に豊は気づいているのだろうか?蒼は照れ隠しのために慌てて残りのカフェラテをぐいっと煽り、再び桜の木を眺めた。
まだ少し寒い。けれど、心地よい日差しと近づいてくる春の気配。こののんびりとした時間が、何ともいえないほど幸せに感じた。
「来週、満開前にやるか。日程空けとけよ」
「うーい」
◆
と、いうことで。
長期休み恒例のたった一回の部活動をするため、蒼たちはそれぞれ料理や飲み物、お菓子を持ち寄って桜のたくさんある公園へ集まっていた。
「どうせなら満開になってからすればいいものを…何を考えているんだ、全く」
「満開になってからでは余計人多くなって場所取りが大変になるからじゃないですか?」
「学園の敷地ん中でやりゃ空いてんのになぁ」
「…それじゃつまんねぇだろ。おら、そこにすんぞ」
満開前、ということもあってか、花見をする人はそれなりにいるものの場所がとれないほどでもなく。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!