変わる
3年生が卒業して、蒼たちも春休みに突入した。夏休み同様少し長めの休みなため、最低1回は部活動をしなければいけない決まりがあるのだが、月も年度も変わり4月に入って2年生に進級した今も、未だに部活の方はなんの音沙汰もない。
「…あ、見て豊。桜の蕾、ちょっと咲きかけてる」
「ぁあ?…あと少しすりゃ咲くな」
「学園に桜ってあったっけ…?」
「山奥の方にあっ…た、だろ、確か」
「はは、豊もうろ覚えじゃん」
ケラケラと笑い、カフェのオープンテラスから見える桜の木を見つめる蒼。"部活" の方は確かに音沙汰はないが、この春休み、蒼と豊はよく2人でデートをした。
時間があれば2人で待ち合わせをし、買い物にいったり食事をしたり、たまにお互いの家へ遊びにもいき、恋人らしいこともして。
もちろん幸作や拓とも遊びに出掛けているが、蒼にとってその2人よりもやはり豊との時間が一番幸せを感じる時間なのだ。
もうすぐ桜も満開になるだろう。そうしたら、みんなと、豊と出会ってもう1年が経つことになる。
「…桜咲いたら花見でもすっか」
「え、…いいけど…なんか豊がお花見って変な感じ…」
「アオが喜ぶならそれくれぇやる。…っていいてぇけど、花見は部活で、な」
「ああ、いいじゃんかそれ!お花見は人数いた方が楽しそうだよね」
「決まりだな、予報見て日程決めねぇと…」
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