16 ずっと気になっていた。 だからついテンションがあがり、くい、と豊の腕を引っ張った…ら。 「そんなに早くいきたいのなら走ればいい」 「早くいきたいから走る、なんて、単純すぎませんか?」 「単純とはなんだ!走った方が早くつくに決まってるだろう!」 ははん、と提案したものをふふんと鼻で笑われ、経理は顔を赤くしていい返してきた。 足が止まる。 蒼はこうなった原因は自分かと苦い顔をし、間に入ってとめようとした。しかし、それよりも早くニヤリと笑みを浮かべた豊が口を挟んできて。 「おもしれぇ、競争か。なら罰ゲームをつけんのは当然だな」 「え、競争って…」 「罰ゲームゥ?」 「元々部費で出すつもりでいたが…ビリになったやつが今日の分を奢る、でいいだろ。部費が動かねぇなら経理も楽だろ?」 「ふむ、それは確かにそうだ。部費を使わずに済むのはいいことだな」 うんうんと頷く経理に、蒼は顔色を悪くした。競争なんて出来ないし、したとしてもビリになるのは見えている。 嫌だ!と反対の声をあげたが、ビリにならなきゃいいだろ、と膝蹴りされてしまった。 (え、え、待って、マジで?) 「誰かスタート合図しろ」 「んじゃオレー。…レディ、ゴー!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |