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だが俺様な態度をとっていても蒼たちには気を許しているのがよく伝わってくる。蒼はそれが、なぜだかとても嬉しく感じていた。
「…あぁ、今日の部活は昇降口に集合だ」
「え?」
「昇降口だ二度いわせんな。外に集まんのもいいだろ」
「げぇ!俺のいないときに限って!?豊ひでぇっ」
「はっ、ザマァ。遅れんなよアオ」
ふ、と蒼に笑いかけてくる豊。蒼もバカにするなよと笑い返し、今日に限っていけない幸作は不満そうに文句を垂らした。しかし、チラリ、と蒼を見て胸を押さえるような仕草をとる。
(…なんだか、なぁ…)
楽しそうな蒼を見ているのは、こちらも楽しくなる。でも、その笑顔が自分に向いていないことに寂しさを覚えるのだ。
なぜなのか。
よく分からない感情を抱きつつ、やってきたご飯にみんなで食べ始めるのだ。
◆
「…あれ、僕が一番最後でしたか。これは失礼しました」
「チッ、さっさといくぞ」
「そういやどこいくわけぇ?」
「あ?…モールだ」
「えっ、マジ?おれまだいったことないんだよね、早くいこっ」
校舎と寮の間にある大きなショッピングモール。色々なお店が入っていて、なかなか島から出れない生徒の憩いの場となるところに、蒼はまだいったことがなかった。
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