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「…おい、おっせぇ」
「わりーわりー!急ぐとトローイ蒼が転けちゃうだろっ?」
「と、トロくないし!」
どうやら今日の昼食は2人だけではなかったようだ。食堂の入口で待っていた豊が2人を睨みつけ、幸作が悪びれた様子もなく謝った。
ちなみに蒼がとろいのは本当だ。運動をしてこなかったためかは知らないが、やたらもたつく場面が多々あることを幸作たちは知った。
先に入っていく2人を蒼は慌てて追う。そして、一気に視線を浴びた。
「っ…これ、だけは慣れないな…」
「豊の人気はすげーからなぁ」
「あ゙?うぜぇだけだろ」
容姿、頭脳共に抜群な豊は生徒会並みに人気がある。家柄もそこそこいいらしく、あの自由気ままな部活の申請が通ったのだ。そしてこの部の部員は、豊が決めた人のみ。
お近づきになりたい、入りたいという人はたくさんいるがそれらを断っているため、実は蒼は若干非難を浴びるようになっていた。
「アオも気にすんな、早く頼め」
「あー…うん、海鮮丼にする」
「決まってんのかよ、食い意地張ってんな」
「張ってませんー」
「うはははっ」
笑い合い、料理を注文して3人で待つ。その間も視線は相変わらずだが、豊はガン無視だ。
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