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ニマニマする幸作に、眉間にシワを寄せる豊。少し怪しい方へ会話がいってしまって動揺している蒼はそんな2人の様子に気づかず、1人さっさとモールの中へ入っていくのであった。

そして、平穏な日々が何事もなく過ぎていき。



「うぁー…ヤバい、豊不足だってこれ…」



夏休みに突入した。
ほぼ全校生徒が帰省をし、蒼たちも例外なく実家へと帰ってきている。だから、もう何日も豊と会っていなくて。メールや電話はそれでもしているが、やはり会いたい気持ちは膨らんでいくばかりだ。

直接声が聞きたい。触りたい。触ってほしい。くしゃり、と頭を撫でてほしい。キスだってしたい。抱き締めたい抱き締めてほしい。

そんな欲求は増していくばかり。蒼はこんなに好きだったことを再度確認するハメになり、恥ずかしさで赤くなる顔を枕へ埋めた。



「…はぁぁぁ…」

(電話、してみようかな…)



会いたい、と素直な気持ちを伝えてみようか。そんなことを思いながら携帯を見つめていると、思いが伝わったのか着信音が鳴り響いた。

相手はもちろん豊。
嬉しくなって蒼は慌てながらも、電話に出た。



「も、もしもしっ!?」

『クッ、何焦った声出してんだ。今忙しいのか』

「べ、つに…、…電話、しようかと思ってたとこ」

『…そうかよ。拓みてぇに乙女ってわけじゃねぇんだから、したくなったら遠慮せずしろ、アオ』

「はは、うん、次からはそうする」


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