12
カバンを投げ捨て、2人でポスンとソファーに座り込む。4月に入ってからずっとこの部屋を使っているわけだが、こうして2人で過ごすのはなかなか珍しい。
なにせ、その見た目通りな拓はよく部屋を留守にするからだ。
「とりあえず運動部じゃなくてよかった…」
「苦手ー?」
「いや、おれ喘息持ちなんだ。だから運動ダメで…」
「あーっ、体育非参加者って蒼のことか!」
「うわ…やな伝わり方…」
サボりたくてサボってるわけじゃないのに、と唇を尖らす蒼に、拓はメンゴーと軽く謝った。
いずれこの部屋でも発作は起きる。その時は焦らずこうしてくれ、と蒼は発作時の対処を教え、お願いをした。
「んまーオレがこの部屋にいたらねぇ」
「…エロ魔神」
「ひっど!男はエロに生きるモンよ」
「うぁ、ちょ、変な風に触るなって」
するすると腕を触られて、顔を青ざめる。拓はヘラヘラ笑いながらすぐに手を離し、先に寝室へ消えていった。この学園の寝室は1つのみ。2段ベッドを真ん中に分かれているだけなので、悲しいかな、あまり1人の時間は作れないのだ。
とはいえ、特に隠し事もない蒼は特に気にすることもなく、あとを追うように着替えをするため、寝室へ入っていくのであった。
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