42 …けれど、このころから蒼を囲む周りの様子が少しおかしくなりだして。 「…このあとアオの部屋いくぞ」 「いくぞ、ってんな勝手な…」 「ダメか。俺の部屋でもいいが」 「んー…いつも豊の部屋じゃ悪いし、いいよ別に。あ、でもたっくんに聞いてみないと」 豊は主席なため一人部屋だから気兼ねなく部活のあと遊びにいくが、蒼は拓と2人部屋なため、いくら2人の知り合いとはいえ勝手に呼ぶのはどうなのだろうか。 そう思い帰り支度をしていた拓を振り返ると、どこか一線を引くようにへらりと笑顔を浮かべこういってきた。 「オレ実はお呼ばれしちゃってんだよネー。だから今日帰んの遅くなるからヨロシクー」 「え、たっくん?」 「おー待て待て拓。俺も一緒にいくぜっ」 「なんで?途中まで一緒にいけばいいのに…」 みんな帰るところは同じなのだから。いや、今まで大体がそうしてきたのだから。なのになぜかさっさと先帰ってしまった拓と幸作に、蒼は不思議そうに小首を傾げた。 そもそも、拓がチャラ男として返してきた時点でもう "いつも通り" の帰りの光景ではない。何が、原因なのか。 「ふふ、お子ちゃまですねあの2人は。分かりやすいことこのうえない」 「へ?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |