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「うわっ、…幸作?」

「わっりぃ、俺先生に呼ばれてたの忘れてたわ!すまん蒼、豊と食ってこいよ」

「え、でもよければ待つけど…」

「いーっていーって、じゃーなー2人とも!」

「…、いくぞアオ」

「あ、ちょ、待って豊っ」



最後に貼り付けた笑みが偽物ということはバレなかったらしい。少しだけ鈍い蒼に苦笑を漏らし去っていく2人の背中を羨ましそうに見つめ、幸作は1人食堂へ向かった。

呼ばれていた、なんて真っ赤な嘘だ。ただ、気を使って身を引いただけ。



「待って豊、おれお昼買ってないんだけど」

「パンでいいだろ。それとも弁当の方がよかったか?」

「え…買ってくれたの?ありがとう豊!全然パンでいいし」

「おら早くしろ置いてくぞ」

「ひど、人が走れないの知ってながら…!」



スタスタと先いってしまう豊を早足で追いかければすぐに追いつき、自然と蒼の歩調に戻っていく。なのに豊は隣にいるままだ。置いていく、なんていいながら蒼の歩調に合わせてくれている。


(…優しすぎっしょ)


何だかんだで蒼の分の昼食も買ってくれていたし、豊のさり気ない優しさにどんどん惚れていく。女扱いされていようがもう今の蒼には豊のしてくれること全部が、嬉しくて仕方なかった。


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