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その顔は連続で打ちあがる花火によって照らされ、豊にもバレバレだ。
「…泣くな、襲いたくなるだろ」
「へ、はっ!?」
「アオのその顔ヤベェんだっつーの。他のやつの前でぜってぇ泣くんじゃねぇぞ」
「あ、う、え」
「ククッ、いい加減落ち着け。…返事は?」
ゆったりと、豊が近づいてくる。それに合わせつい後ずさってしまう蒼だが、やがて壁に背中がついてしまい、逃げ道がなくなって。
トン、と顔の横に手が伸びてきて、後ろの壁と、大好きな豊に挟まれてしまった。
もう、逃げれない。
いや、逃げる必要など、始めからないのだ。
「っ…お、れ、おれ、…も、部長のこと…っ」
「部長じゃねぇだろ」
「う、あー/// …ゆ、豊、のこと…」
「……」
「…す、…き、っ…好き、です付き合って下さ、んむっ!?」
(え、…えええっ!?///)
精一杯の告白は最後までいわせてもらえず、すぐそこまで近づいていた豊の唇によって口を塞がれた。熱っぽい瞳がゼロセンチの距離から見つめてくる。
ゾクゾクゾク…ッといいようのない快感が体中を走り、蒼はきゅ、と目を閉じて一筋の涙を零し、豊のキスに酔いしれた。たかだか唇をくっつけているだけのキス。なのに、とても気持ちいい。
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