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(いいなぁ)


告白出来たらどんなにいいか。それでもこれから恐らく2人きりで花火が見れるだろうそのことに、蒼は抑えきれずニマニマしながら歩いていく。

校舎の中にもいくつかのカップルがいたが、それらを通り過ぎ、部室として使っている教室へ。けれど、そこはもぬけの殻で。



「…あ、れ、部長?まだきてないのかな…」

「おいアオ!こっちこい、こっちだ」

「へ、え、どこ?」

「向かいの教室。早くしろ」

「ええっ、部室っていったじゃんかー」



突然聞こえた豊の声にドキドキしながら向かいの教室へ移動すると、サッシに腰掛けこちらを見ていた豊と目が合った。電気のついていない暗がりの教室、窓際に浮かぶシルエット。

ああ、なんてかっこいいのだろうか。そして、なんていいシチュエーションなのか。



(っ…空気、に、流されるな)

「ごめん待った?」

「…いや、間に合ったからいい」

「あ、やっぱ花火?でもだったらみんなでの方がよかったんじゃ…」

「アオ、あんま鈍いとキレそうになっからやめてくれ」



はぁぁ、と呆れたように溜め息をつく豊に、何かしてしまっただろうかと蒼はギクリと身を強ばらせた。せっかく2人きりで花火が見れるのだ、こんなことで空気を悪くしたくない。

どうしよう、と焦りを見せた蒼に豊は苦笑を浮かべ、こい、と蒼を呼んだ。サッシからおり、向かい合うように立つ。


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