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「…アオ」
――ドキッ
「なっ、なに?」
「昨日いったこと、忘れんなよ」
(…昨日…?)
何のことだっけ?と小首を傾げ、そして朋也に半ば引きずられながら、思い出した。豊は自分が当番のときにこいといっていた。指名しろ、とも。
いきたい、いっていいのなら、ぜひともいって豊の執事姿を見てみたい。
「なんだなんだ?昨日ってなんのことだ?」
「おや、君もきたんですか。2人きりがよかったんですがね、蒼くん」
「あはは…おれは人数多い方がいいんですけど。あと手、そろそろ離し…ひぃっ」
「ちょ、朋也先輩、蒼にイタズラすんの禁止ッスよ!」
「蒼くんほどからかいがいのある子はいませんね」
拓や経理もいいが、セクハラするなら蒼が一番だ、と朋也は狐目をさらに細め、にんまりと笑った。
幸作の始めの問いが流れたことに蒼はホッとしつつ、まだ腰を撫で回してくる朋也から必死に抵抗するのであった…。
◆
(うわぁぁもう終了まで15分しかないとか…っ!)
時間を確認し、蒼は泣きそうな顔で廊下を急いだ。朋也に連れ回されようやく撒いてきたのだが、残り時間はあと僅か。
15分しかない。
けれど、どうしても入ってみたくて。
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