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「…アオ」

――ドキッ

「なっ、なに?」

「昨日いったこと、忘れんなよ」

(…昨日…?)



何のことだっけ?と小首を傾げ、そして朋也に半ば引きずられながら、思い出した。豊は自分が当番のときにこいといっていた。指名しろ、とも。

いきたい、いっていいのなら、ぜひともいって豊の執事姿を見てみたい。



「なんだなんだ?昨日ってなんのことだ?」

「おや、君もきたんですか。2人きりがよかったんですがね、蒼くん」

「あはは…おれは人数多い方がいいんですけど。あと手、そろそろ離し…ひぃっ」

「ちょ、朋也先輩、蒼にイタズラすんの禁止ッスよ!」

「蒼くんほどからかいがいのある子はいませんね」



拓や経理もいいが、セクハラするなら蒼が一番だ、と朋也は狐目をさらに細め、にんまりと笑った。

幸作の始めの問いが流れたことに蒼はホッとしつつ、まだ腰を撫で回してくる朋也から必死に抵抗するのであった…。







(うわぁぁもう終了まで15分しかないとか…っ!)


時間を確認し、蒼は泣きそうな顔で廊下を急いだ。朋也に連れ回されようやく撒いてきたのだが、残り時間はあと僅か。

15分しかない。
けれど、どうしても入ってみたくて。


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