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「いひゃい…」

「だ・れ・の・せ・い・だ・よ!」

「…おへ?」

「そうだよ!早くしねぇと遅刻すんだろうがっ」

「あ、ひょっか。んむ…じゃーヒデ先にいっていーよー」



もうおれ置いてって、と由良がやる気なさげにそういうと、秀和は離した手でまた同じように顔を掴んだ。

されるがままの由良に、女子生徒からはクスクスと笑い声があがる。



「そうしたら由良、絶対こないだろーが。ほら早く着替えて体育館いくぞ」

「置いてけばいーのに…」

「何かいったか?」

「んー」

(…ったく、1人になることの危険性も分かってんのか…?)



今や由良は、ただの『無気力な生徒』として有名なだけではない。あのレッドデビルの飼い主としても有名なのだ。大抵の人は恐れるか、この無気力さに呆れるかのどちらかだが、中にはそうでない人もいて。

現に今も、廊下にたむろっていた不良がずっとこちらを見ていた。噂と、本人のこのギャップ。不良にとっては格好の的になってしまうだろう由良を、なるべく1人にはしたくないのだ。



「せめて逃げ足だけでも早きゃな…」

「…ヒデから逃げれるのに…?」

「そーそー、ってちげぇよアホ。もう俺に迷惑かけないでくれっていってんの」

「ごめんねお母さん」

「だからちげー!」


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あきゅろす。
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