20 ちなみに、その翌日宮本秀和はあの悪魔に立ち向かったヒーロー、いや強きママだ、と讃えられることになる。 「はい、いただきます」 「「……」」 無気力な由良と、由良以外に心を許していない銀がいうはずもなく、いつも通りといえばいつも通りな食事が始まった。今日の夕飯はシチュー。ゴロゴロと大きめの野菜がたくさん入っていて、美味しそうだ。 「2人とも、久しぶりの学校はどうだった?」 「…だるかった」 「はは…秀和くんは?元気だった?」 「凄くうるさかった」 ムム、とちょっとだけ眉間にシワが寄る。それでもこうしてすぐ答えが返ってくるあたり、まだ心に余裕があるのだろう。ヒドいときは箸すら持とうとしないのだから。 そしてパパは銀にも視線を寄越す。しかし銀は、睨みつけるだけで答えなかった。会話はほとんどない、でも、暗いわけでもない。そしてその食事が終わりかけたとき。 「…由良くん…」 「…も、食べれない」 「食べれないじゃないでしょ、グリーンピースだけ残ってるじゃないか」 「…由良、嫌い?」 「食べる意味が分からない」 「栄養があるからだよ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |