11 ご飯を食べることすら嫌になり、お風呂も入らなくなった。かろうじて由良が自ら進んでやったのは、ペットの餌やりだけ。一度放置したときに、物凄くニャーニャーワンワン鳴かれてしまったため、仕方なしに、だ。 そして春休みが明ける。しかし由良は、学校へはいかなかった。いく意味がもう分からなくなってしまった。いく気力も起きないし、誰もそれを咎めない。完全なる、引きこもり。 何度か先生から連絡があり家にもきたが、あいにく由良しかいないためシカト。というか出る気にならなくて。だから、父親はその事実に、気づいてなかった。 『ただいまー…』 不登校になって、早1年と半年。由良は3年生になっていた。外の葉も赤く色づくこの季節、今日も遅くに帰ってきた父親は、リビングに入り、目を丸くした。由良がソファーで寝ていたのだ。なんだか久しぶりに見た気がする。 『由良…?こんなとこで寝たら風邪引くぞ。由良、…由良?』 『ひゅ、…は、ぅ゙…』 『ゆ、由良!なん、え、由良、由良っ?』 呼吸がか細く、よく見ると顔色も悪い。サーッと顔を青ざめさせた父親は、慌てて病院へ連れて行った。そのとき、抱き上げた由良が小学校のころと変わりないくらい軽いことに、心底驚いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |