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まず、あのレッドデビルと知り合う機会すらないだろう。由良はほとんど家の中でゴロゴロと過ごしているのだから。
ただ、このクラスメートたちもそれが信じられないから、こうして青年に話をし、真相を確かめてきてくれ、といっているのだろう。
「分かった、分かったから詰め寄ってくんなって!」
『頼んだぞ宮本!』
「はぁ…自分で聞いてみりゃいいのに…」
この青年、宮本秀和は、由良の唯一の友人といっても過言ではない。この高校に入ったときからの仲なのだが、なにぶん由良は無気力な塊で。元々面倒見がいいところがあった秀和は、由良のことを放っておけなくなり、今では由良ママと呼ばれてしまうほど由良の学校での世話をよく見てくれている。
クラスメートや担任も、由良のことに関しては秀和に任せきりだ。
「おーい、由良、はよう。久しぶり」
「…ヒデ」
「ちゃんと課題やってきたかー?よく休まずに今日これたじゃねぇか」
「父さんに人質とられたから」
きたくなかったのに、と眉を寄せる由良に、秀和は「ん?」と笑顔のまま固まった。人質って、何のことだ。春休みの間に無気力系だけでなく、不思議系も身につけてきたのか。
なんてちょっと失礼なことを思いつつ、その話はあとにして今朝のことを聞いてみる。
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