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久しぶりのクラスメートとの再会に喜ぶ素振りを見せるはずもなく、適当な返事を返して立ち尽くす由良。席は、どこに座ればいいのか。その指示は黒板に紙が貼られているのだが、そこまでいく気力がもう由良にはない。
…と、それに気づいたクラスの女子が、由良に声をかけてきた。
『名簿順だよー由良くん』
『初日ぐらいやる気出していこーよっ』
「出したとこで何が変わるやら…」
『あははっ、変わってないねー』
『でもそこが可愛ーいっ』
((くっ、赤飼のやつ羨ましい…!))
何度でもいおう、由良は平凡だ。ただこの無気力さが女子の母性本能やら何やらをくすぐるのか、結構可愛がられているところがある。それに対し男子が羨ましがることはあるが、妬みや嫉妬などイジメに繋がることは一切ない。
"ア" カガイ。そのために由良は名簿順になると大概1〜3番の中に入ることになる。このクラスではまさに1番。窓際の一番前の席に座り、由良はぽけーっと目の前を見つめた。
――ヒソッ
『おい、誰か聞いてみろよっ』
『お前がいけよ!』
『いやでも、単なる噂だし…』
『…俺、目の前で見た…』
『『……』』
囁かれる噂話…もとい登校中のこと。このクラスにも何人か擦れ違った人や見かけた人がいたらしく、やがてクラス内はその話で持ちきりになっていく。
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