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おろしてもらい、きゅ、と大きな手を握って猫背のままダルそうに中へ入っていく由良。銀は見えなくなるまで見送り、くるりと踵をかえして一度実家へと帰って行くのであった。
◆
市立第一高等学校。
とある市に古くからある、なんの変哲もない学校。共学で偏差値もそこそこ。校舎は少し古いが、新築した校舎もあるし、昔からある大きな木が、学校のシンボルとなっている。
校門から校舎までの道のりは、もう少ししたら綺麗な桜並木道となるだろう。
(遠い…余計やる気なくす…)
昇降口までがまず、少し距離がある。それから3年になって新しくなった下駄箱に向かい、靴を履き替えて教室へ向かうのだが…。今いる校舎とは別の、さらに渡り廊下を渡った奥にある校舎へいかなければいけないのだ。
他のみんなは久しぶりに友達と会ったためかワイワイはしゃぎながら向かう中、由良はのそりのそりと壁づたいに教室を目指した。3年は1階に教室があるため、2年前に比べるとずいぶんと楽にはなっているのだが。
3ー2、そこが由良の教室だ。
『おー赤飼、久しぶり!』
『相っ変わらずやる気なさそうだなぁっ』
「んー」
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