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――ザワッ
『お、おいあれ…っ』
『っひ、なんであいつがここに!?つか、あの腕の中のやつ…』
「…あ゙?」
『『ひぃぃっ』』
学校に近づくにつれ増えてくる生徒。その中を睨みを効かせながら歩く銀は、当然のように目立っている。元が有名なこともあり、生徒は遠巻きになぜだとこちらを見ては、腕の中の生徒を見て青ざめた。
拉致。人殺し。大怪我をさせた。とにかく、誰もが最悪の事態を考える。
「うぜぇ…」
「…気にしないのが一番。うー…もうすぐつく…」
「…サボる?」
「バレる」
由良パパに、絶対に。なんていったって、クラスの中に密告者がいるのだ。バレて怒られるのもまた、それはそれでめんどくさいため、由良は今までもちゃんと通ってきていたのだ。
やがて校舎と校門が見えてきた。生徒だけでなく来賓も見えているようで、銀の姿を確認した教師が慌てだしている。ぐ、とさらに眉間にシワが寄り、周りの生徒は心の中で悲鳴をあげながら素早く逃げていく。
「由良、ついた」
「ん、ありがとう銀。はぁぁ…いってくるかぁ」
「帰り、も、くる」
「んー。銀もがっこ、いくんだよ」
「……ん」
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