新しい春
陽気も暖かくなり、ポツポツと花が咲き始めている今日この頃。白いYシャツに黒の学ランを身にまとった由良は、…至極ダルそうに玄関へと向かっていた。
「あぁぁー…」
「はい元気出して。今日は1時終わりでしょ?」
「多分…でもいくのがなぁ…いく意味が分からない」
「そんなこといわないの。早くしないと由良くんだけじゃなく銀くんも遅刻するよ」
「…うぁい」
パッパッと少しついてしまった犬猫の毛を払い、パパは苦笑を漏らしながらも由良を学校へ向かわせた。2人で外に出る。入学式にはいい感じの晴天。だが、由良はその眩しさに目を瞑って立ち止まった。
そんな様子を見ていた銀は由良に近づき、そしてひょい、と持ち上げる。
「俺、連れてく」
「銀…さすが銀。おれのことよく分かってる」
「いい子?」
「いーこいーこ」
カバンをお腹の上に置き、目を細めて誉める由良に銀は満足げに口角をあげた。そしてそのまま、お姫様抱っこのまま、学校を目指す。
由良の学校までの道のり。銀はもちろん知らないため由良が教えていくのだが、あたりを見回して必死に覚えようとしている様が忠犬っぷりを表しているようだ。…しかし。
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