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あまり、声に抑揚はないけれど。それでも実は銀の方が年下で、先輩と呼ばれたことが面白かったのか由良は楽しそうに笑った。それに触発され、銀も自然と口角があがる。
微笑ましい光景だ…なんて、のんびり思ってる場合ではない。
「いつから学校始まるの銀くん!」
「…も、いかねぇ。由良のそば、いる」
「おれの番犬」
「番犬、離れねぇ」
「何いってんの父さんは認めません!」
ビシ!とそう宣言するパパを、銀が睨みつける。ちょっと…いやかなり怖いが、ここは由良パパも譲らない。学校へいかないなんてダメだし、その原因が由良になるのはもっと困る。
「い き な さ い」
「…ああ゙?」
「いかないと、もう家に入れてあげないよ。合い鍵も返してくれ、銀」
「ええ…父さんひどい…」
「由良くんも、離れるのが嫌なら銀くんを納得させて」
なんて卑怯なんだ、と由良が頬を膨らます。しかし、もう銀と会えなくなるのはどうにも寂しい気がして。由良は下から銀を見上げ、ちょい、と服を引っ張ってこちらを向かせた。
「銀、学校いって」
「…由良…」
「おれの犬でしょ…?」
「っ…チッ、分か、った。でも、送り迎え、する」
「ん、いーこいーこ」
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