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だから、きっと、抵抗するのがめんどくさい以前に、由良はそこまで嫌がってなかったのかもしれない。
「んー…」
「由良、寝る?」
「んんー、銀も寝んね」
「…ああ」
ぽむぽむ、と呼ばれるままにベッドに再びあがり、由良をギュウッと抱き締める。やがて聞こえてきた寝息に、銀は口を歪ませ、首筋へちゅ、ちゅといっぱいキスをした。今は好きの意味合いがちがくても、必ず手に入れてみせると密かに闘志を燃やしながら。
◆
「由良くん銀くん、ラブの散歩お願ーい」
「うぇぇー?」
「お父さん忙しいから、ほら、働かざるもの食うべからずだよ」
「じゃーご飯いらないー」
「由良くんあのねぇ…」
春休みももうすぐ終わり、という今日この頃。夕方の犬の散歩を由良たちにお願いするも、いつものようにやる気のない返事を返されてしまった。夕飯あげないよ、という脅しも由良には効かない。こちらが食べさせない限り、食べる気すら起こさず本当に何日も食べない、ということもあるのだ。
由良パパは困ったように眉を寄せ、あ、といいことを思いついた声を出した。
「よし分かった、散歩いってくれないと、銀くんの夕飯抜きにするよ」
「…あ゙?」
「いいのかなぁ由良」
「うぜぇ。…俺も、いら「父さんのばかー」…ゆ、ら?」
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