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それが緊張故とは考えもせず、由良は心地いい音だ、なんて思いながらゆったりと意識を沈めていった。
見張ってる、その言葉通り銀は由良パパを睨みつけ監視する。別に何もしないのに、と苦笑を浮かべたパパは、洗濯物を畳みながら銀に声をかけた。
「重くなかったら由良くんの部屋まで運んでくれる?…あ、この洗濯物ももってってね」
「…テメェ、が持ってけ」
「由良くんと銀くんのなんだけどなぁ」
「……ふん」
銀が自宅に帰る前は客間で寝起きしていたのだが、再びこの家にやってきてからは、なぜか由良と同じベッドで寝ている銀。狭さを感じてはいるようだが、由良もそれを受け入れているらしく、銀の私物も外で待つほど由良にべったりな銀。少し危なさを感じるが、由良パパの器はまだまだ余裕がある。
しばらくして本格的に寝てしまった由良を銀は抱え上げ、ちゃんと2人分の服を持って由良の寝室へと移動を始めた。
「ん…」
「…ゆ、ら?」
「…んぅ…」
(可愛、い)
顔は、平凡寄りなのに。
たまに見せる笑顔とか、幼げなところとか、無防備なところとか。ふとした瞬間に、『あ、可愛い』と思うことが最近よくある。
無気力でいてマイペースで、犬扱いをしてくる由良。けれどだからこそ、銀の鉄壁をするりと抜けて内側に入ってきてしまったのだ。
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