25
至福の時間を邪魔されて不服そうにしながらも、銀は由良にいわれた通り2階の窓を閉めにいった。由良のいうことだけは素直に聞く、どこまでも忠実な番犬だ。そして由良も、自分に都合よく選んだ1階の窓を閉めに歩く。
ヒドい雨だ。
もうすぐ春休みも明けるというのに、肌寒さを感じるほどに。
「はぁ、ギリギリセーフかな。2人ともありが、…な、何してるのかな2人とも」
「寒いっていったらこうなった」
「見、んなおっさん」
「いや、うん…由良くんがいいならいいんだけどね」
洗濯物を取り込んで2人にお礼を、と思ったら今度はソファーに座った銀の膝の上に座り、由良が抱き締められていて。スキンシップの激しすぎる2人に若干眩暈を起こしながらもパパが聞けば、由良から返事が返ってきて。
確かに身長差もあるし、後ろから抱き締めれば暖かくもなるだろう。だからといって、ここまでされるがままでいいのだろうか…。
「由良、ぎゅう」
「…銀痛い」
「っ、ご、め、…悪い」
「んー…寝そう…」
「俺、見張…って、る」
だから寝ていいよ、という銀に、由良は甘えて銀に寄りかかって目を瞑った。厚い胸板に相応しく、聞こえてくる鼓動もドッドッと大きな音をたてている。
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