3
足をあげるのも億劫だ、というように引きずり、のっそりのっそりと買った牛乳を手に、家を目指していた。
ふと空を見上げる。暗い。月さえも雲に隠れ、街灯がなければ3月の7時はもう真っ暗だろう。
「帰る気なくす…」
暗い空に、気分も落ち込む。
もうこのままここに座り込み、あの男性が迎えにくるのでも待とうか、なんて考えつつのっそりのっそりと歩く。
そしてようやく見えてきた自分の家。…と、その前にうずくまる、何か。
「……」
「……ん゙…」
「……」
じぃぃ、ぱちくりと見つめる少年。家を出るときはなかったはず。怪我をしていて、苦しそうだ。なんでうちの前に倒れているんだろう。
…まあ、とりあえず。
――ガチャ、
「ただいま」
家に入る少年。
リビングまでいくと男性はパソコンを前に電話をしていて、少年に気づき笑顔を向けてきた。
買った牛乳をテーブルに置き、また床に寝転がる。にゃーにゃーと猫が少年に群がってきた。
「…はい、はい、失礼します。…っと、ありがとね由良くん、今すぐ作るから…」
「…外…」
「ん?」
「犬、拾った」
「…拾ったって…また!?あのねぇ由良くん、もう拾うの止めなさいっていったよね?面倒見るのは誰だと思ってるのかな」
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