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喧嘩をする気力すらない。きっとそういう自体になったとき、由良はされるがままになるだろう。擦り傷にちょんちょんと消毒液をつけ、薬が必要な怪我には塗り、ガーゼを貼る。意外にも手際がよく、銀は心の中で少し感心した。



「…由良、俺」

『ワンッ!ハッ、ハッ』

「あ゙?」

「あはは、お帰りだって。よかったねぇ銀」

――なでなで

「っ…由良、由良。俺、由良だけ。ずっと由良の犬。番犬するっ」



ぎゅうう、と大きな体で小さな体を抱き締める。ここにいていいか、なんて言葉は由良の言葉で聞く必要もなくなり、心が、じんわりと暖かくなってきた。もうダメだ。この温もりを知ってしまった以上、由良から離れることは出来ない。

見た目によらず寂しがり屋で甘えん坊なわんこに、由良はさらに頭を撫で、されるがままになった。銀にぎゅうっとされるのは嫌じゃない。由良自身もそう思っているのだ。



「由良、…由良、好きだ、由良っ」

「んー…重い…」

「んぁ?…ぁ、わ、るい由良…」

「だいじょぶ、多分」



シュンとあるはずのない耳を垂らして謝る銀にクスクス笑いつつ、由良は日の当たるところまで移動し、銀と他の子たちも呼んでごろんと寝転がった。腕枕を銀にされる。由良はパチパチと銀を見つめたあと、それに甘えた。


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