18
――…ガチャ
『…っ、銀!』
「……」
『どこいってたの銀!また下らない子たちと下らないことしてたんじゃないでしょうね!?』
『いい加減やめなさい。将来に響くぞ』
夜、家についた銀はドアを開けるなり音に気づいてやってきた両親に責め立てられた。イライラ、イライラ。眉間のシワが深くなっていく。
銀が一度帰ると言い出したのは、あまりにも携帯に2人からの連絡が入ってウザくなったからだ。帰った、という事実さえ作れば、文句はいわれるものの少しは動きやすくなる。そう思って帰ってきたのだが…なんと、うるさいことか。
『聞いてるの?銀、…銀っ!』
「…っせぇな…!」
『親になんて口の聞き方するんだ!そんな子に育てた覚えはないぞっ』
「だ、まれ、うぜぇ!テメェら…親とも、思って、ねぇ」
『銀!』
ぐるるる、唸り、睨みつける。親、ではないが優しい温かな家庭を知ってしまった銀にとって、今まで以上にこの家はくだらなく、嫌気がさしてくる。
銀、銀、銀!
耳に障る2人の声。銀は自分よりも小さな2人を上から見下ろし、父親の首を掴んだ。凄まれ、母親は「ひっ」と情けない声を漏らす。どいつもこいつも、脅せば結局は怯えてへりくだるのだ。なんてつまらない。
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