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ヒラヒラと手を振る由良に視線を送り出て行こうとする銀を止め、パパは小さな何かを銀に手渡した。大きな手のひらに乗っかる、シルバーの鍵。



「由良くんが気に入っちゃってるみたいだからね。悪用しないなら持ってていいよ。いつでも…帰っておいで」

「…おっさん、キメェ」

「なっ、キモイって何がだい!?」

「い、…って、くる」

(…素直じゃないなぁ)



嬉しいなら嬉しいといえばいいのに。銀はその鍵を大事そうにポケットにしまい、ついに由良の家から出て行った。

さて、さて。
大きいわんこはどこを "家" とするのか。とりあえずいつの間にかソファーに横になってダルそうにしていた由良に苦笑を浮かべ、ずっと銀が使っていた客間を片付けにパパはいくのであった。







染谷銀。
見た目も中身も不良な彼は、実はとてもいいとこの子だ。両親共にバリバリのサラリーマンとウーマン。銀は一人っ子で、小さなころから英才教育を受けさせられてきた。

だから頭はそれなりにいい。
けれど、子供のためといいつつ世間体を気にしての教育は、銀にとって苦でしかなく。こうしてやさぐれて不良になったのだ。



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あきゅろす。
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