14
「由良くん大丈夫…?あのさ由良くん、彼、もう熱も下がったわけだし…帰ってもらおう?」
「…なんで…?」
「なんでって、元々家がちゃんとあるわけだし、今回みたいなことがこれからもあると思うと、父さんは心配でたまんないよ」
「銀拾ったのおれ。おれの犬」
「あのねぇ由良くん…由良くん?」
ふらり、と立ち上がった由良は、銀のあとを追ってお風呂場へ向かう。確かに無気力で抵抗する気もなくされるがままな子とはいえ、今までこうも固執することがあっただろうか。
犬とはいえ人。人とはいえ由良にとっては犬。銀を拾ったことが、何かしら由良に影響を与えているというのか。
「…由良くんが不良になったらどうしよう」
とりあえず、あがってきたら首の痕を何とかしないと。パパは不良になった由良を思い浮かべつつ、その場をあとにした。
そして、お風呂場では。
「…な、んで…いる」
「銀初めてのお風呂?」
「怖く、ねぇの、かよ」
「?、…少し寒い」
「っ…そ、じゃなくて…俺、由良の首、絞め…た!」
真っ裸ですでに銀がいる浴室へ入ってきた由良に、銀は目を見開き、また拳を強く握り締めた。白い首には赤い締め付けられた痕があり、きっと背中にも青あざが出来ているだろう。
なのに、なぜきたのか。由良が理解出来ない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!