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手を上まであげる気力はなかったのか、銀の足を撫でて「めっ」なんて本当に犬に叱るようにやる気のない声で叱る由良。銀はその手を弾き、ぐるる、と唸る。

しかし由良はすでに目を閉じていて、半分眠りかけているようだ。光を浴びて光る黒髪。サラサラと重力に従って流れ落ちていく様が、とても綺麗で思わず一瞬見とれてしまった。自分のごわついた真っ赤な髪とは全然違う。

…そ、っと触れてみた。



「ん…んー?」

「……」

「…銀の手…熱い」



うっすらと目が開き、見つめられる。ドキドキ音を鳴らす心臓に、体が熱くなってくる。一体なんだというのか。もしかしてこれは…、



――フラッ

「…あ、」



バタン、と音をたてて倒れた銀に動物たちは目を覚まし、由良も目を開けて上体を起こす。おでこに触れてみたら、とても熱かった。こんな場所にいたからだろう、熱がぶり返してしまったらしい。

その後、家の中だというのに携帯でパパを呼び出した由良は、状況を把握したパパにちょっぴり怒られるのであった。







怪我のせいもあってか、思った以上に長引いてしまった銀の風邪。それもようやく治り、久々のお風呂に入ることになった。


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あきゅろす。
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