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ついでにいうとここらで一番強いといわれている不良でもあるために、自ら近寄る人は滅多にいないのだ。

右耳に大きな輪のピアスがついているのも印象的で、どうやら由良にはそれが首輪に見えるらしい。



「ぎーん」

「…っ、な、んだっ」

「ぎーん」

――ポムポム

「だから由良くん、犬扱いしない…の、って…ぎ、銀くん?」



ソファーからだらんと手を伸ばし、ちょいちょいと床を叩いて銀を呼び寄せる由良。パパは当然怒るが、…銀が、それになぜか従ったのだ。

眉間にシワを寄せたまま、警戒しつつ近寄ると座れといわれ、なぜか座ってしまう。



「銀、犬?」

「…怖く、ねぇのか、よ」

「…?」

「っ…犬、なる。ゆ、由良の、犬」

「え…ぎ、銀くん?いいの、君…」



頭を撫でられると、嬉しくなる。意味が分からない。初めて出会った人間にこんなに心を許してしまうなんて、どうかしてる。
…銀自身そう思っていても、やっぱり由良に相手されると嬉しくて。昨日の夜のように、安心感を得るのだ。

こうして赤飼家に大きな犬が一匹増えることになった。名前は銀。まだ警戒しているけれど、一から躾可愛がっていけばいい犬になるだろう。


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あきゅろす。
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