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プロローグ
――ドサッ

『ぐっ、…あ゙』

「はぁっ、…は、クソ、が」



夜。
人通りの多い道から外れたそこに、1人の青年が息を乱して立っている。

足下には倒れうずくまるたくさんの人。不良の喧嘩。この青年もいくつか殴られた痕があるし、ナイフで斬りつけられた痕もある。

1対多数。
それでも勝ったこの青年。しかし、もう体力も限界にきているのか、立っているのがやっとといった様子だ。



「…チッ」

『…っゔ、ま、て…っ』

「キエロ」

『ぐぁ!』



この青年の圧倒的な力を前にしても、まだ手を伸ばしてきたその不良を蹴り上げ、青年はその場からフラフラと立ち去る。

もう、絡まれたら次はない。
早く、早く安全なところへ避難しなければ…。







「ああー…しまった、買い忘れた」



夕飯作りのためにキッチンに立つ男性は、冷蔵庫の中を確認して情けない声をあげた。今日はシチューだというのに、牛乳がない。

仕方ない、と男性は火を止め、リビングの床に寝転がる少年のもとまで移動した。



「由良くーん、お使い頼まれてくれないかなー?」

「んー」

「牛乳がないんだよー。ね、お願い由良くん」

「父さんいってくれば…?」

「今日仕事の大事な電話かかってくるから家から出れないんだよ。由良くんこのとーり!」


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あきゅろす。
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