* 「…あ、の、そろそろいっても…?」 「ああ、引き止めて悪かったな。…また」 「はい、失礼します」 (先輩として慕われてるだけでもマシ、か) 変わらず自分にも笑顔を見せてくれる優人に、省吾はそう思うのであった。 ――ガラッ 「お、お待たせしました…っ」 「…っせぇ…」 「ご、ごめんなさい!色んな人に呼び止められちゃって…僕から誘ったのに、ごめんなさい…」 「チッ…俺の名前出して一発だろ。腹減ってんだよ早くしろ」 「はいっ!あの、朝、作ってきたんです!」 シュン、と落ち込んだり、パァッと笑顔を見せたり。ずいぶんコロコロと表情が変わるようになった優人に、流は小さく喉を鳴らした。つまらない奴だと思って殴っていたときのことが、嘘のようだ。 …顔に傷が残らなくてよかった、と心底思う。 「すくねぇな…」 「…えっ、も、もっと食べるんですか…?」 「優人も食え。強くなりてぇんだろ」 「ぅ…食べてます、これでも…。そ、それに強くなるっていうのは、その、力よりもえと、心の問題で…んむ」 「あーもーうっせぇ。黙って食ってろ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |